読むことのスリル──ひだかたけし小論(8)/朧月夜
労力を省くためでもあります。しかし、偶然とは異なもので、ここに挙げた詩はわたし自身にとっても気に入るものでした。そこでは、抒情と叙志が一体化していて、「現代詩」というあいまいな存在に、一石を投じるようなものに思えたからです。
「そもそも論」「原理主義」というものに、わたしはほとんど共感しません。文学の世界にしろ、政治の世界にしろ、「分かりやすいもの」とは、必然的に、あるいは残念なことに「耳に心地よい」主義・主張に落ち着いてしまうからです。わたしはむしろ、分かりにくい、ポピュリズムからは離れた作品をこそ評価します。ですが、ひだかたけし氏の詩において、そのようなアウトキャスト的な詩を求めるのは困難で
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