読むことのスリル──ひだかたけし小論(6)/朧月夜
 
技巧によって解題することは、むしろ簡単です。蒙昧な読者は、それら詩群が単なる言葉遊びに過ぎない、と結論するかもしれませんし、賢明な読者は、それら詩群は「新しい詩だ」と思うかもしれません。
 ひだかたけし氏の詩が新しいか、新しくないか、という議論に関して私見を述べれば、それはまさしく新しい詩であろう、とわたしは言います。第四章で述べたような「括弧閉じ」の使用、「てにをは」の省略など、氏の詩には新たに詩を書いていく上での、様々な指標が散りばめられています。批評というものが印象批評から哲学的な批評へと移ったように、哲学的なテーゼを読み解くという方法もありでしょう。ですが、ここでは、氏の詩が読者にとって
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