読むことのスリル──ひだかたけし小論(5)/朧月夜
 
が表されているのです。起承転結に重きを置く詩であれば、冒頭に置かれていても良いようなものが、この叙述です。
 どうでしょうか。ある意味で難解と言っても良いような詩を引用して、今までは「読むことのスリル」を感じていなかった読者諸氏も、そろそろ「この詩人は恐ろしい」と感じ始めていただけているのではないでしょうか。この「括弧閉じ」は、誰もが思いつきそうで、なかなか思いつかない発想です。単に言葉遊び、記号遊びと考えることも可能でしょう。ですが、氏の用いる「括弧閉じ」は、明らかにその意味合いが異なります。
 現代詩への挑戦と言うことは大仰ですから、わたしもそうした言い方はしません。しかし、氏が単純な日本
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