読むことのスリル──ひだかたけし小論(5)/朧月夜
これは、「記憶の奥に(改訂)」(*3)という詩の一節です。詩の全編を引用することはできませんが、この詩は要約すれば、次の二連の主張に落ち着きます。
俺はいったい何を待つ?
などと考えるまでもなく
近付いて来るそれを
巨きな漆黒の影伸ばすそれを 気配のなかで眼を瞑り
耳を傾けていればそれで良い
この詩は、心象上の「砂漠」における孤独と安らぎについて書かれた詩なのですが、上にあげた問いと答えに対して、「)」から続く一節は、明らかに異様であり、部外的な響きを持っています。「)」が「括弧閉じ」であるように、ここにはあらかじめ終着した想いが表
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