読むことのスリル──ひだかたけし小論(5)/朧月夜
 
葉が出てきます。議論を飛び越してしまいますが、氏の詩が哲学的であるという見方は、このような世俗的な言い回しが多用されていることによって、否定されざるを得なくなります。この詩人は、(今までの論考とやや矛盾するところはありますが)あくまでも生活の一部として詩を詠んでいるのです(*2)……それがどれほど難解で、孤高なものだったとしても。
 ところで、この「括弧閉じ」(「)」)は、何を意味するのでしょうか。一例では判断できないため、もうひとつの詩を引用しましょう。
 
  )沢の源頭に突然開ける原初の光景の如く
  )自らの時間を巻き戻し遡行した挙げ句
  )記憶の奥にのっそりと姿現すもの

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