読むことのスリル──ひだかたけし小論(4)/朧月夜
dence)」。表層的な意識を超えた、深層心理と深層心理の交流のことを表しています。この言葉を最初に詩に用いたのは、19世紀の詩人であるボードレールでしょうか。あるウェブサイトによれば、コレンスポンデンスとは「地上と天空の対応」を表しているとされていますが(*2)、そのように語義を拡張していくことは、無意味でしょう。この語は時代が下って、「商業的な通信」を意味するものとしても使われているからです。
しかし、ここでわたしが伝えたいとしていることは、氏の詩における「魂と魂の共感」についてです。語彙とは時代につれて変化していくものであり、日本語において「にほふ」という言葉が視覚から嗅覚に属する言葉へ
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