読むことのスリル──ひだかたけし小論(4)/朧月夜
韻を捨て、小説や哲学に近いものとなりました。ここに、「詩」と「非詩」の境目はあいまいになったのです。
現代において、詩を詩たらしめるためには、そこに「詩想」というものがあるかどうかが鍵になってきます。ですが、この「詩想」というものも厄介なものです。第一章で書いたように、日本の詩人たちは「あはれ」というものについて問うて来ました。この伝統、というよりも呪縛は、現代でも変わらないものがあると言えます。詩は、その伝統によってしか、詩たるか、詩たらざるかを判断し得ないのです。
この章の副題は、「交感ということ」というもの。「交感」というのは、英語で言えば、「コレスポンデンス(Corresponde
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(2)