読むことのスリル──ひだかたけし小論(4)/朧月夜
合わせていません。もし時間があるならば、いいえ、氏が一冊の詩集を出版していたならば、その労力はかなり軽減されたことでしょう。ですが。ここに一杯のアップルティーがないように、そのような贅沢は許されてはいません。限られた情報、限られた時間のなかで、氏の詩を読み解いていかなくてはならない。
そのために、わたしはひだかたけし氏自身が自選した、ひとつの詩を引用したいと思います。「坂道」(*1)という詩の一節です。
二人寄り添い
昇った坂道
橙色に染まる
夕暮れに
奥まる時間を
二人して
ぐんぐんぐんぐん
遡行した
この詩にも、氏の詩に共通して
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