読むことのスリル──ひだかたけし小論(3)/朧月夜
 
らの引用です。詩の詩群のなかでは、尾崎豊という歌手に関する言辞は二度出てきます。もちろん、「今のところ」という限定付きです。氏の詩は、氏自身が認めるかどうかは分かりませんが哲学的であり、世俗との接点は、先に書いたようにほとんどありません。あるいは、音楽のみが作者と世間とを結びつけているのでしょうか? それは詩人の心の奥深くに潜り込んでいかなければ、答えの得られない命題であり、今のわたしには重すぎる課題のように思えます。
 この「切断の虚無」という詩も、尾崎豊という世俗的な芸術家に触れながら、作者は非現実、あるいは形而上的な世界へと逃れていきます。
 
  独り在ることのリアリティは個体性は、
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