読むことのスリル──ひだかたけし小論(3)/朧月夜
 
は「宿命」を言い訳にはしていない。それは、単なる「自己責任」でしょうか? 詩が一個の客体であると考えるとき、そんな答えは安易に過ぎるように思えます。つまり、この詩人は「宿命」に対して喧嘩を売ったのだと、わたしはそう考える次第です。
 さて、詩人の「世俗性」ということに、話を戻しましょう。ですが、この結語は一瞬で終わるかもしれません。わたしは、この詩人の詩をすべて読んだわけではないのですが、初期の詩に次のような一節がありました。
 
  何を待ち続け
  何を求めるの
  名もない日々が
  訳もなく微笑む
  (尾崎豊/゙贖罪゙)

 これは、「切断の虚無」(*3)という詩からの
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