読むことのスリル──ひだかたけし小論(3)/朧月夜
 
で10行。現代詩全般においても、氏の作品群においても、短いほうだと言ってよいでしょう。かつて、ジャン・コクトーなどは極めて短い詩を残しましたし、日本における詩歌の伝統も、五七五、あるいは五七五七七という余分なものをそぎ落としたところで、培われてきました。戦後、それが商売にならなければいけないという制約のもとで、戦後詩は長い詩を書くに至りましたが、これが本当の伝統というものでしょうか? さすがに、そうは言い切れないものがあるように思えます。

  高いみ空から降って来る
  ひとつの静かな宿命です

 という、諦観のような言葉で、この「み空のうた」という詩は終わります。このときにわたしが思
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