メモ/はるな
 


そうなってしまって初めてわかるということがままあるのだが、春が来ることもそうだ。それは毎年決まって来るのにね。そしてそのたびちょっと絶望する。

今年のお誕生日には、姉といもうとが花を贈ってくれた。濃いピンクと淡いピンクと、うすきいろと白とさまざまな緑色の花たちだ。この部屋へ引っ越して来てから、あっという間に半年が過ぎてしまった。いくつかの求人にメールを送ってみたものの折り合いがつかず、結局まだ部屋の中にいる。
部屋のなかにずっといると、自分には何もないような気がしてくる。それは寂しい気持ちだから、花を生けたり、絵を描いたり、派手なシャツを着てみたりする。求人広告を見たり、かたまり肉
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(3)