メモ/はるな
 
り肉を焼いてみたりする。そのうちに娘が帰ってくると、ほっとしてちょっと昼寝をする。夜になると夫が帰ってきて、ますますほっとして眠る。ママ眠たい時いつでも寝ていーんだからね。とむすめが言う、焼けた肉を切り分けたあと、ありがとうと言ってそれで本当に眠ってしまう。眠たくて眠るのは気持ちがいい、寂しくもないし、怖くもない。明日の分のパンは買ってあるし、洗濯機のフィルターも掃除してある。

そんなふうにしてたからまた春だ。会いたい人に会える気もしない。本を読むのだってしんどいし、なけなしの気力で花の水を替える。狭いベランダではビオラが咲き狂っているし、フリージアの蕾もそろそろだ。
外へ出ていくのは簡単なことのように思えた、帰ってくればいいだけなのだから。帰ってくると言うのも、ますます簡単なことのように思っていた、だってここに部屋があるのだから。
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