シナリオ・駒は乙女に頬染めさせて?/平瀬たかのり
てこの馬の脚はそれまでと別物
になった。歩様も変わったはずだ。なのに蹄にだけ合
わせたテツを打ってもなんの意味もない。全体を見な
くっちゃ。それくらいのことは分かっててほしいなあ」
寿々芽「えらそうに言ってるけど、その意味あるテツっ
ての打てるの、あなた?」
正純「こら、寿々芽」
寿々芽「だってこの人、さっきから」
寿々芽を睨む駿太。
駿太「俺はな、六つのときから爺ちゃんに付いてテツ打っ
てきた」
寿々芽「六つ……」
駿太「ずっとテツばっかり打ってた。高校も行ってない。
爺ちゃんは俺になにも教えなかった。見て全部覚えた。
爺ちゃんが死んだ今は、俺が日
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