人間ではない。/岡部淳太郎
人々を、また世界を、外側から眺めるような場所にあるからだ。世界が動き、人々が大勢集まって織り成す綾模様を、その中に入りこむのではなく外側から眺めて観察する視点がなければ、到底詩人など務まらない。そのような局外者的な立場に自らを置くということは、いわゆる人間的な、一般の世間的な幸福というものには当てはまらない姿勢がある。そうでなければ「世界を凍らせる」(吉本隆明の詩句より)詩など書けはしないだろう。
ところで、以前見た演劇にこんな場面があった。それは舞台役者たちの劇の裏側を描いた自己言及的およびメタ的な視点のある劇なのだが、そのラストシーンで、主人公である劇団を率いる座長が街中で自分と同年配ぐら
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