人間ではない。/岡部淳太郎
 
の中で生きていかなければならないというのは、酷なことではあった。だが、僕も世界の中に放りこまれた一人の人として見做されているからには、世界に馴染めないなどと言っている場合ではなく、あらかじめ用意された世界という場所でそのどこかにあるだろう椅子に座っていなければならないのだ。それが生きるということであり、それが出来なければ死ぬしかないということになってくる。だが、それでも消えない異和の中で僕が編み出したのが詩を書くということであって、それはおそらく自分でも意識しないうちにぎりぎりの方法として編み出されたものに違いない。世界に馴染めないのならば、自分の中に詩という世界を作ればいい。そんな寸法だ。そうし
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