汽水域/山犬切
 
かれする無数の世代というのが綿々としていまここに繋がっていて、それは巨大な樹木のようで、それが今ここという現実で姉の肢体という形式で果実をつけるように結実しているのだ 姉の肩も腰も顔も胸も脚も尻も性器も全てが家系という樹形の先端についた果実のようなものなのではないか― しかし僕という身体を考えると血は繋がっているのにそれはちっとも果実らしくないと思った それは男女の違いだろうか? さらに僕は姉を犯そうか?と考えた 姉のたゆたゆと揺れる乳房を見て俺が思い描いたのはなぜか永い時を超えて流れ続けた川が海にたどり着いてどこまでも流れる情景だった… 流れ続けた川が海に接する領域のことを”汽水域”というらしい
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