どうか咲いていて/ホロウ・シカエルボク
 
い声を上げ、携帯を出して電話をし始めた。野次馬が集まって来て車に群がり、どうやら車を持ち上げようという話になっているみたいだった。俺はもうそこに留まる気は無かった。慌てて家に帰ると、玄関でやはり花が枯れていた。そして、その隣に新しい花が置かれていた。

それから一週間が経った。一週間くらいが経ったのだと思う。俺はほとんど眠ることも出来ず、台所に張り付いて過ごした。花は時折枯れ、そして新しいものが置かれた。不思議なことに、俺はそれがいつ置かれたのか気付くことが出来なかった。ずっと玄関のすぐそばに居るというのにだ。ラジオをつければどこかで誰かが死んでいることを知ることが出来たかもしれない。でも、そ
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