どうか咲いていて/ホロウ・シカエルボク
頃には俺の混乱も少し落ち着いていた。店を出る時に突然飛び込んできたことを詫びた。
「頑張って、枯らさないでくださいね。」
沢山の買物を抱え、今度は俺が引きつった顔で礼を言った。
帰り道、曲がり角で自転車の少年が飛び出して来た。少年は俺の姿を見て慌ててハンドルを切り、車道へと飛び出した。軽トラックが急ブレーキを踏んだが間に合わず、少年は自転車ごと車の下敷きになった。自転車はそれがそうだとは信じられないほどに歪み、少年の身体はその部品であるかのように絡み合っていた。どう見たって助かりそうではなかった。軽トラックの運転手はがっちりとした身体をした初老の男で、車の下を覗き込んでああ、と重く低い声
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