どうか咲いていて/ホロウ・シカエルボク
背後で地鳴りのようなもの凄い音と振動が起こった。思わず数歩前へつんのめり、振り返ると高校生と思しきブレザーを着た少女が頭をぺしゃんこにした状態でうつ伏せに倒れていた。俺は上を見上げた。数年前に空になったオフィスビルがそこにはあった。飛び降りか―周りには誰も居なかった。もの凄い音がしたのに様子を見に出て来る人間も一人も居なかった。そもそも居住地区ではないし、開いている店でも中で騒がしくしていたら気が付かないかもしれない。俺はたまたますぐ近くに居て、その衝撃をダイレクトに感じた、それだけのことなのだろう。あるいはもう、この街は飛び降り自殺なんてそんなに珍しい見世物でもないのかもしれない。俺はため息をつ
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