どうか咲いていて/ホロウ・シカエルボク
 
していると、自分がそのためだけの機械のようなものなのではないかという気がする瞬間がある。だからなんだというんだ、俺はいつでもそんなヴィジョンにそんな言葉を返す。そんな瞬間は軽くあしらっておかないとこじらせると面倒なことになる。明日は休みだった。どこかへ出かけようか…。

数少ない馴染みの小さな店で数杯ウィスキーを飲み、ふらふらと帰り始めるころには真夜中近くだった。ビルとビルの間、路地の中に無数の酒と女の店が立ち並ぶ、下町によくある昔ながらの通りだった。そこを歩いていた。いくつかの店はもう暖簾を閉まっていて、入口をぼんやりと小さな灯りだけがともしていた。その通りを抜け、大通りへ出た途端、俺の背後
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