終戦記念日/ホロウ・シカエルボク
を持って銃を構えるのだ。純粋な狂気だった。純粋で莫大な狂気だった。そしてわたしは自分がたった今撃ち殺したもののもとへとたどり着いた。それは少女だった。一二か三か―そのくらいの。人を殺すことなど考えたこともないような、美しい肌をした少女が、後頭部から撃ち抜かれて、廃墟の天井灯のごとく右目をだらりと垂らして死んでいた。
大量の汗をかいてわたしは跳ね起きた。ここ数日ばかり、ずっとその夢を見る。始まった瞬間にそれだとわかる。何度かは逃げ出そうと試みた。すべて無駄だった。その夢からは決して逃げることが出来なかった。ベッドから降り、カーテンを少し寄せて外を見た。まだ明け方のようだ。キッチンに行って水を飲
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