終戦記念日/ホロウ・シカエルボク
銃の感触が、わたしをどうしようもない気持ちにさせた。けれど、そんな気分に浸るのはきちんと生き残ってからのことだった。わたしはゆっくりと、さっき撃ち殺したもののところへと歩いた。死体と瓦礫を踏みつけ、そんなものの中へ転ばないように気をつけながら、自分の罪を確認するために歩いた。どうやらここはもともと街だったようだった。いったいどこに居るのだろう。初めてそんな疑問が頭をもたげた。けれどきっと、それを知ることは出来ないだろう。こうなってしまっては、街の名前などもうどうでもいいことなのだ。歩いている間も、周囲には気を配っていた。戦場においての決まりごとはひとつだった。必ず生き残ること。全員がそんな思いを持
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