終戦記念日/ホロウ・シカエルボク
った。そんな虫のいい話があるわけがない。でもわたしの思うことが、戦場の常識と噛み合うかどうかは例によってわからなかった。わたしは戦争になど行ったことがないのだ。やがてわたしは銃を下ろした。標的はどれだけ待ってもピクリとも動かず、わたしが背中を撃たれることもなかった。わたしは長く息を吐いた。もう一度生きるための呼吸だった。どうやら本当にわたしだけが生き残ったらしい。あるいは他にも生きているものは居るのかもしれない。弾を撃ち尽くしているものや、生きてはいるけどまったく動くことが出来ないものなど…どんな理由があるにせよ、アクションを起こせないのならそれはもう死んだと同じことだった。命一つ分軽くなった銃の
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