終戦記念日/ホロウ・シカエルボク
 
、辺りを見回すと、視界の端に微かに動くものが映った。わたしは恐怖に囚われ、そのせいで慌ててそこに向かって銃を撃った。おそらくは人間であろうそれは、着弾の瞬間高圧電流に触れたみたいにビクンと震え、突っ伏して動かなくなった。わたしはそれでもしばらく銃を構え、狙いをつけたままで居た。死んだふりをしているだけかもしれない。こちらが隙を見せたら撃ち返されてお終いかもしれない。過度な緊張が異様な集中を生み出していた。狙いをつけながら、耳では周辺の音を聞いていた。今の銃声でこここに生存者が居ると気付かれただろう。他に、誰かがここで生きていると仮定したら、ということだが。生き残ったのが自分だけとは考えられなかった
[次のページ]
戻る   Point(2)