はじめから手遅れ/ホロウ・シカエルボク
食事を作っては一人で食べた。テレビはもうつける気がしなくて、CDをひたすら流していた。テレビ番組というのはある意味で、標準的な幸せのエッセンスなのだ。
三か月目の日曜の朝、ぼくの孤独は突然に終わった。小さな庭に出て洗濯物を干していると、どこかで木の枝がたくさん転がるような音がした。ぼくは音の聞こえてきた方を見た。数十年前、この家がリフォームされる前に使われていた風呂と便所のある小さな小屋があった。鍵が壊れていて開けることすら出来ない小屋だった。そんなものが庭に在ること自体ぼくは忘れていた。ひどい胸騒ぎがした。洗濯物を放り出してぼくはその小屋へと走った。小屋の木戸はなにかでこじ開けられてい
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