はじめから手遅れ/ホロウ・シカエルボク
 
ていた。引き開けると嫌な音を立てて外側へと倒れた。中には、天井から吊るされたロープに引っかかって揺れている頭蓋骨と、床に散らばった白骨があった。念入りに磨いたみたいに真っ白だった。散らばった骨の後ろに、大小ふたつのスーツケースと、一足のパンプスと、倒れた椅子があった。ぼくは、膝から崩れるように地面に落ちた。いつまでかかってるのよ、と言わんばかりに、真っ白な骨に空いた真っ黒な眼窩がそっぽを向いた。ぼくは茫然と、彼女が消えてからの数ヶ月を思い返していた。




―なんてこった。




                       【了】

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