はじめから手遅れ/ホロウ・シカエルボク
行われた行為だと結論づけるのが妥当だった。ぼくは掃除をすることにした。掃除機を出して、家じゅうの床にかけた。それから雑巾を出して、フローリングの部分を拭いた。それが済んでしまうともう夕食の時間だった。ぼくはパスタを茹でて簡単な具を炒めて合わせた。どうでもいいテレビ番組を見ながら食べた。タレントたちはみんな無理をして笑っているように見えた。
三日目にぼくは、彼女の実家に電話をかけ、実はこういうことが起こっている、と告げた。彼女の母親は心底驚いたようで、それはつまりそこにも彼女は居ないのだということを意味していた。「警察に行こうか迷っているんです。」彼女の母親は、自分も心あたりに連絡してみるから
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