深紅の繭が孕む熱が/ホロウ・シカエルボク
ら…繭の中で俺の血液は俺を取り囲むように循環し、常に新しい熱と酸素を生み出した、その循環は縦回転のようにも、横回転のようにも、あるいは斜めの回転のようにも感じられた、きっとそのすべてが同時に行われているのだろう、と俺は思った、血の流れというものは制限のない場所でこそ成り立つからだ、赤い景色の中、自分がこれまで眺めてきたものについて考えた、恍惚とするほど美しいものもあったし、吐気をもよおすほどに醜いものもあった、どちらかといえば醜いものの方が多いような気がした、一見酷く醜いように見えても、捕らえようによっては途轍もなく美しく見えるものもあった、不思議なことにその逆はあまりなかった、おそらくそれはイデ
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