深紅の繭が孕む熱が/ホロウ・シカエルボク
流れる血液が溢れ出るイメージでもあったし、それが体内で熱を発する時のイメージであることもあった、あるいは業のような、宿命のようなものをそんな風に呼ぶこともあった、視覚化された金属音はゆっくりと舞い上がり俺の全身を切り刻む、致命傷ではない、でも確実に血管を傷つけている、俺は瞬く間に血まみれになる、痛みはない、この現象にはおそらく何らかの示唆がある、と俺は考える、その血の温もりは、リアルな俺自身の体温なのだろうなという説得力を秘めていた、俺は血液の繭のような塊になり、その中でぼんやりと、答えを求めない思考を無意識に続けていた、俺はいつでもそんな風に、無意識に生まれるものに身を任せてきたなと思いながら…
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