深紅の繭が孕む熱が/ホロウ・シカエルボク
はきっと、魂の摩耗にはそうとうな効果があるだろうということも理解していた、だからじっと目を見開いて、迂闊にその世界に飲み込まれないようにとつとめた、結果としてそれは正しかった、そうさ、見逃すまいと目を見開くことはいつだって正しい、もちろん、そのあとに目に映ったものを検分することは必要になるけれど…金属的な音が視覚化されてばら撒かれている、これはきっと触れると身体に傷がつくだろう、俺はなぜかそれを確信する、それは歩けないくらいにばら撒かれる、病的な花壇に撒かれる種のように、ああ、俺はこのあとのことを半ば確信しながら思う、思えば俺は、いつでも血にこだわってきたな、それは視覚的な、いわゆる血管の中を流れ
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