「夏の思い出」の詩人、江間章子/藤原 実
が起こりました。歌を聴いて一面の水芭蕉を想い描いて尾瀬に出向いた人たちを深く失望させる出来事があったのです。それは夏の尾瀬には水芭蕉が咲いていないからでした。
江間章子自身は著書『<夏の思い出>その想いのゆくえ』(宝文館出版)で次のように書いています。
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水芭蕉を見ようと、夏休みに尾瀬へ行ったら、すでに水芭蕉の季節は終っていた。「あの歌の題名は間違っている」と、女性の旅行評論家という肩書きの人が、やはり週刊誌に書いていた、と静岡から、いくらか憤慨めいた調子で、電話をくれたひともいた。
水芭蕉は、雪が解けるころから、五月、六月の半ばまでの長い期間、咲きつづける。
「詩の中の〈匂
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