しがらみのふるさとに/山犬切
ていた 母親との関係が悪ければ宿命も良くないものになっていきふつうの人の人生と比べてその人生がいくらか苛酷になるかもしれないし、母親との関係が良ければわりあいいい人生、穏やかな人生を送っていけるのではないか とかそんな内容だった それは本当のことだろうか?と僕は横になりながら話半分にその考えを咀嚼していた
別の橘玲というライターの本では、人間が抱える〈私〉という自己はだいたい遺伝とあとは比較的年代が近い友だちや異性とのかかわりあいによって決まると書いてあった その本のポイントは家族(による子育て)が子どもという個人の自己形成に与える影響は一般に想定されているよりはるかに微弱だということだった 二
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