スズメバチ(SS私小説)/山人
 
ください、と連呼しているのを見て、そこを使うこととした。使い方をじっくり読み、そのとおりにやると意外に簡単だ。バーコードを差し添えると金額が明示される。意外におもしろい、そう思った。また、自分で品を容れ物にそれぞれ配分し、投入していくという行動は、一種遊び心も芽生える。これは、なんか楽しい、川村はそっと笑った。釣銭とかのボタンを押したりしていると後方に圧力を感じ、振り返ると、男がセルフレジを使おうと並んでいた。周りを見渡すとセルフレジ群はそれぞれ客が操作し、すべて使われているようであった。なるべく、年寄と思われたくない。老害と呼ばれないようにしたいという気持ちが川村にはあった。釣銭を財布に押し込ん
[次のページ]
戻る   Point(1)