ランド・オブ・ザ・デッド(黄泉の国)/ホロウ・シカエルボク
 
のみのようなかたちのノブが手に触れた、開けてみるとそこにはなにも無かった、無があるだけだった、ドアを境界にして、地上と宇宙が触れあっているみたいな景色だった、俺はドアを閉めて地上を遮断した、そして宇宙の中にただひとりとなった、星だと思ったものはそうではなかった、おそらくは手前の部屋でうろうろしていた白い影のなれの果てだった、段階ごとにドアで区切られているのだな、と理解した、その部屋にはどんな動きも存在しなかった、ただどこまでも続くかのような闇の中に、白い影であったものが縮こまってぽつぽつと浮かんでいるだけだった、どういうわけか俺はその部屋のほうが怖いと感じた、なんの音も無く、動きも無く、もしかした
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