ランド・オブ・ザ・デッド(黄泉の国)/ホロウ・シカエルボク
 
踏み出したとたんに、巨大な窯の中に落ちて煮物になるのではないだろうか、そんな気がしてなかなか踏み出せなかった、うろついている白い影は、俺にはまるで関心が無いようだった、それどころか、俺や、周囲を感知しているのかどうかさえ怪しいものだった、ぴったりな言葉を当てるとするならまさに浮遊霊だった、俺は初めて彼らをリアルなものに感じた、共感のようなものだったかもしれない、でも彼らはうろついていること以外はただの影だった、表情も感情もそこには存在しなかった、ここに居ても仕方がない、と諦めて一歩を踏み出した、無数の深紅の線に阻まれてよくわからないが、確かに地面は在るようだった、深紅の線には感触というものがまるで
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