西脇詩の音楽性/藤原 実
 
透の「西脇順三郎ノート」(『詩と思想の自立 : 現代詩の歴史的自覚』思潮社)などは、
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カルモジインの田舎は大理石の産地で
其処で私は夏をすごしたことがあった

ヒバリもいないし蛇も出ない
ただ青いスモモの薮から太陽が出て
またスモモの薮へ沈む
少年は小川でドルフィンを捉えて笑った
    
        (「太陽」)

(中略)大理石とか、ドルフィンとかカルモジインとかいうことばを、気にしなくて読めば、それは自我の消滅した時代、たとえば平安朝の時代の自然のように思えてくる。そういう意味でナショナルなものに対する思想的な否定性を貫いた反ナショナルな世界でもな
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