西脇詩の音楽性/藤原 実
 

「西脇順三郎氏の詩を、ハタチぐらいではじめてよんだとき、わたしはとりつくしまもなくしょんぼりしていた。それが五年ぐらいたった或る日、突如としてわかる気になり、わたしはコーフンし、西脇順三郎の詩がわかるのはわたしだけなのではないか、とさえ思うほどのめちゃくちゃぶりであった。
もちろん何がどうわかったかわからないが、わからないが突如わかるということは、やはり不思議なことなので、わかるわからないの間にあった、あるぼんやりした時間や空間をわたしは眺めてすごした。」

といった経過をたどった結果、
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「この詩人のコトバは音楽である。そしてまた、コトバの意味を散文の意味と詩の意味とで自
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