西脇詩の音楽性/藤原 実
 
出して読まれても困る。頭の中で読む音の世界をつくろうとしているからである。頭の中で考えたり感じたりする音調で詩を書いているのであるから。」「私の詩は意識の流れで書いている。かすかに水の流れる音の世界である。」(「脳髄の日記」)

というふうに説明しています。

片桐ユズルが「現代詩とコトバ」(『詩のことばと日常のことば』思潮社)という文章で西脇詩の言葉使いを

{引用=

    こんな日にはあの梨色のタイをつけた
    生物学者こそ語るのは
    いそギンチャクや山葡萄の
    つれない物語だ。

西脇詩のミリョクはこんな「こそ」「のだ」「も」「だが」「ただ」
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