西脇詩の音楽性/藤原 実
 
メージの重なりと同時にアタマのなかには<アンコロモチーコロガスーマンダラ>という変なつながりの音が鳴っています。

やつぱり脳髄は淋しい
実に進歩しない物品である
  
     (西脇順三郎「体裁のいゝ景色(人間時代の遺留品)」)

「やっぱり・・・淋しい」という音の連なりなら「・・・」の部分には「ヒトリハ」とか「ワカレハ」とかいう音が私たちのアタマにはかすかに響いてきますが、そうではなくて「ノーズイ」という思いがけない音が鳴るのです。脳髄が寂しがってカンシャクをおこしているようです。


西脇自身は、

{引用=「私の詩は朗読されると困る。それどころか声を出し
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