西脇詩の音楽性/藤原 実
 
は近いものを引きはなす」ということがよく言われ、それは主に相反するものを連結して新しいイメージを作るということが強調され、西脇詩の音楽性という面は私などはあまり深くは考えてこなかったように思います。しかしイメージと言ってもコトバで表現されているわけですから、当然、音をともなっているわけであり、私たちのアタマのなかには映像とともにそれが喚起する音も響いているわけです。


ここは昔広尾ケ原
すすき真白く穂を出し
水車の隣りに茶屋があり
旅人のあんころ餅ころがす
この曼荼羅の里

     (西脇順三郎「旅人かえらず 165」)

「あんころ餅」と「曼荼羅」というイメー
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