陸に上がったワンピースの話/万願寺
ーの夢を見るかと思ったが、見たのはいつもどおりの、つまらない緑の蝶々を追いかけるだけの夢だった。
さまざまなものがうすむらさきを煩わせた。多くの事で笑った。どうしようもないか、とも、思うことがある。笑い飛ばせればいいのに、うすむらさきの女は、そういうことができる「たち」ではなかった。
動物達はあきらめずに彼女を訪ねる。訪ね続ける。ワンピースの柄のことはあきらめられても、彼女のことを諦めることはできなかった。
女はもう道の先のほうにある。もうすぐ丘を出て行かなくてはならないのだった。どちらが東で西で、ということもわからないような動物たちに根気強くゴルフのクラブの種類など教えながら
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