ボロボロの壁/ホロウ・シカエルボク
 

俺はそんな状態なのかな、と俺は困惑して言った。医者は俺の緊張をほぐそうとしたのか、少し表情を緩めて、笑顔を作りながらこう言った。
「我々は君に聞いた状況から判断するしかない。君は今回たまたまマズい方向に寝ぼけただけかもしれない。でもね、もう一度言っておくよ、あと数ミリ傷が深かったら君はここに来ることも出来なかった。それぐらい危ない状態だったんだ。」
俺は頷いた。少し悩んだが、今日はもう帰る、と答えた。医者は頷いた。
「もう二度と悪い夢を見ないように祈ってるよ。」
ありがとう、と俺は答えて病院をあとにした。


数週間後、俺は意識を失くして病院に担ぎ込まれた。道端で血まみれになって倒
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