ボロボロの壁/ホロウ・シカエルボク
 
いつかなかった。彼女にしてみればそれなりに納得のいく段階を踏んでいるのだろう。だけど、俺にとってはまったくの晴天の霹靂というやつだったのだ。この毎日にこんな終わりが来るなんてほんの数分前までまったく考えてはいなかったのだ。
「両親が凄く喜んでいるの…やっと親孝行してくれるって。何年かぶりに小遣いくれたの。だからね、あたし車呼んでそれで帰るから…だからね、送ってくれなくていいからね。」
アビーはあまり俺のほうを見ずに早口でそんなことを言って、じゃあ、さよならね、いままでありがとうと言ってコテージを出て行った。俺は何も考えられず、しばらくの間コテージで立ち尽くしていた。それからどうしたのかあまりよ
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