ボロボロの壁/ホロウ・シカエルボク
 
りよく覚えていない。気づくと自分の部屋で水のシャワーを浴びて震えていた。慌てて湯に切り替えて、バスタブに湯を張り、ゆであがるまで浸かっていた。


取り乱したりはしたものの、数週間は比較的穏やかに過ぎていった。俺は時間を持て余すのが嫌になって、フルタイムの仕事に就き、やけくそで働いた。食肉工場で豚肉を捌く仕事だった。力だけは無駄にあったので、年寄りの多いその職場で俺は重宝された。家に帰ると力を使い果たして、シャワーを浴びて飯を食うとすぐに眠くなってベッドに横になった。こんな毎日もいいものかもしれない、そんな風に考え始めた矢先のことだった。

ある夜、もう日付も変わったころ、俺は痛みで目を
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