ボロボロの壁/ホロウ・シカエルボク
ないかって考えることあるのよ、最近。」
歳より臭い悩みだな、と俺は返した。アビーの言うことは分らなくもなかった、いや、もしかしたら本当は恐ろしく分っていたのかもしれない。だから逃げようとしたのだ。
「俺たちまだ二十代じゃないか。」
そうだけど…と言ってアビーは俯いた。もっと上手く言えるはずなのになにも言葉が見つからない、そんな様子だった。俺は彼女がなにか思いつくまで待っているつもりでいたが、眠気覚ましの煙草を早々に消してしまっていたせいですぐに眠ってしまった。目覚めた時はもう朝で、アビーも静かな寝息を立てていた。女は老けるの早いっていうしな、と思いながら俺はその頭を撫でた。
それから数
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