ボロボロの壁/ホロウ・シカエルボク
 
せ他に生きる術があるわけもない。俺たちは野生の動物のような愚かさで自分の立ち位置を全うしていたのだ。


ある日の少し肌寒い冬に、いつものようにやりまくってダラダラしているときに、あいつ―アビーはこんなことを口にした。
「ここの壁さ、だいぶんボロくなったよね。」
うん?と、少しウトウトしていた俺はそれをもう一度繰り返してもらった。それから眠気覚ましに煙草に火をつけて、煙を吐きながらそうだな、と答えた。笑わないで聞いてくれる?とアビーはいつになく暗い表情で続けた。俺は煙草を消して頷いた。
「この安い木造のコテージがあと何年もつのか分らないけど…あたし時々、自分があの壁みたいなものじゃない
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