祖母と故郷と、夕暮れと。/ちぇりこ。
 

「あ、ど、お、おかまいなく!」
急な展開で動揺したのか何だかわからない返答をする
「ばあちゃん…」
少し低い声でドスをきかせて言い放つと
祖母はしゅるしゅると煙のようにたなびいて天井へ消えていった
少し気になったので突っ張り棒の予備を伸ばして天井へドンと一突き
ガタン!と音がして祖母の気配は消えた

春の陽がなんの感慨もなく傾いてゆく
牧歌的な休日の夕に ぼくは窓の外を眺めている
街の速度に ちょっとだけついていけないぼくは だんだん猫背が酷くなり 幼い頃の断片を一つずつ捨ててゆく
白い畦道で拾った小さな歯車とか 届きそうで届かなかったオニヤンマの夏の高さとか
そうし
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