詩の日めくり 二〇一八年十一月一日─三十一日/田中宏輔
 



 詩人は、自分の書いたメモをつぎつぎと取り出しては読んでいった。必ずしも取り出された順番ではないのだが、それらのメモにある言葉のうち、いくつものものが言葉同士、つぎつぎと結びついていった。まるで、そういった言葉自体が意識を持って、最初からその順番で結びつけられることを知っていて、詩人の目を通り、詩人の無意識層に働きかけ、詩人の関心をひき、詩人のこころにイメージを結びつかせたかのように思われたのであった。


二〇一八年十一月三十一日 「断片」


 ぼくは、彼を憎んでいた。彼がけっして、ぼくのものにならないことを知っていたからである。もちろん、ぼくのものになるとしても、そ
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