詩の日めくり 二〇一八年十一月一日─三十一日/田中宏輔
 
、それは、ぼくがつくりだした彼のイメージというものであり、そこには、もしかしたら、彼自体がつくりだした彼のイメージの一部分が含まれているかもしれないのだけれど、しかし、彼のイメージというものは、その大部分は、おそらく、ぼくがつくりだしたものであり、そのイメージが、彼本来の真の姿とは似ても似つかぬものであるということをも、ぼくにはわかっていたのである。数多くの欲情の記憶があるが、どの欲情の記憶も数え上げるのがそれほど困難ではない数の記憶に収束される。それに加えられるのは、直近のものを除けば、ごくわずかなものだ。


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